申立人のメッセージ

渡辺勇人さんとゴードン・ヘイワードさん

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埼玉県・川越市在住、付き合い初めて5年の日本人・アメリカ人の国際ゲイカップルです。
お互いの両親・親戚公認で職場でも私たちの関係をオープンにしています。
2013年6月に米国最高裁が結婚防衛法(DOMA)を違憲とする判決を下したのをきっかけに、それまでセレモニー的ではなく、あくまで「法的」な婚姻を望んでいた私たちは有給を利用して昨年の1月にカリフォルニア州サンフランシスコの市庁舎で婚姻届を提出し、結婚をしました。

結婚当日、なんと私たちと同じ時間に結婚をしたカップルの半分以上がLGBTでした。
勇人の大学時代の友人3組とゴードンの家族だけの温かくこじんまりとした食事会を開いて皆に祝ってもらいました。
二人にそっくりのケーキトッパーとモチーフにした紫色のバラをあしらったウェディングケーキをゴードンの親戚が手作りしてくださり、素敵なブーケとブートニエールをゴードンのママが用意してくれて、豪華ではなくても二人っぽい結婚ができて満足しました。
市庁舎を出て街にそのままの姿でくりだすと、見ず知らずの人たちから「おめでとう」、「お似合いのカップルだね」と何度も祝福の声を頂きました。
偏見の眼差しではなく、こうして普通に祝福されたことがなによりも印象に残りました。

私たちの日常生活はストレートカップルのそれとなんら変わりはありません、ただ同性同士というだけです。日本でも、社会的にはLGBTに対する理解はある程度深まっているのではないかと個人的にはそう思います。
例えば、記念日を祝うためにレストランやホテルの予約をしても、断れたことは一度もありません。

私たちの場合、アメリカやその他の同性婚を法的に認めている国では婚姻しているカップルとしてみなされますが、現在の生活の拠点である日本では戸籍上家族ではありません。
お互いが離ればなれにならないように、米国では婚姻し、ゴードンは日本の永住権を取得しました。
現時点では、この暮らしを維持することが私たちにとって幸せで、しかし将来のことを考えると「法的に婚姻関係にある」ことで享受できる人権を無視することはできません。

毎年4月末に開催される東京レインボープライドとその関連イベントを通じて、この「同性婚人権救済申立」を知りました。
その前にも、認定特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズが写真家レスリー・キー氏とミュージカルRENTとコラボしたプロジェクト「Out in Japan」など、私たちができる活動には積極的に参加しています。
それは、日本でLGBTが身近な存在として可視化されれば、国民一人一人がもっとLGBTの人権に対しても考えざるをえないからです。
さらに、私たちが小さい頃に日本では存在しなかった「将来なりたいLGBTのロールモデルになりたい」と思っているからです。
そのためにはこうして世間にカミングアウトして、LGBTコミュニティの一員として社会に働きかけることは重要です。
後に続く若い世代に将来に対する「絶望感」ではなく、「希望」をもって欲しいと思っています。

2015年6月10日掲載

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