同性婚人権救済についてよくいただく質問とそれに対する回答をまとめています。
同性婚人権救済がどのようなものか短い時間で知ることができます!
FAQ
Q1.同性婚について、どんな申立てをしているのですか?
Q2.どんな人たちが申立人になっていますか?
Q3.代理人の弁護士は、どんな人たちですか?
Q4.そもそも、「日弁連」って何ですか?
Q5.人権救済って何ですか?
Q6.日弁連の「措置」はどんなもので、どんな効果がありますか?
Q7.申立から結論まで、手続きはどう進みますか?
Q8.申立から結論まで、どのくらいの時間がかかりますか?
Q9.同性婚について、どうして裁判ではなくて人権救済をするんですか?
Q1
同性婚について、どんな申立てをしているのですか?
「同性婚の法律を作るように」と、内閣総理大臣、法務省、衆議院、参議院に対して日本弁護士連合会(略称「日弁連」)が勧告をすることを求めて、日弁連に対して申立をしています。
申立の詳しい内容は、同性婚人権救済申立書【概要版】をご覧ください。
過去の事例でも、日弁連は、家庭裁判所で後見開始の審判を受け成年被後見人となったことから公職選挙法の規定により選挙権を失った事例について、内閣総理大臣他に公職選挙法の改正を行うことを勧告(*外部リンク)しています。
また、ハンセン病に関して、らい予防法の廃止だけでは不十分で、被害回復のための積極的な措置が必要である旨内閣総理大臣他へ勧告(*外部リンク)しています。
Q2
どんな人たちが申立人になっていますか?
申立人には、「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルなど、同性婚が法制化された場合、同性婚をすることを希望する可能性があると考える方」がなっており、現在、パートナーがいる方も、いない方もいます。
10代から60代まで、41の都道府県に申立人がいます。
2015年7月7日の申立時点の申立人の人数は455名でしたが、追加申立、取下げ、また申立人が亡くなられた結果、2017年4月18日現在の申立人の人数は、453名です。
申立人の募集は終了しています。
Q3
代理人の弁護士は、どんな人たちですか?
この申立の代理人は、同性婚人権救済弁護団(LGBT支援法律家ネットワーク有志)の弁護士たちです。
弁護団員の名前やメッセージは、「弁護団の紹介」をご覧ください。
LGBT支援法律家ネットワークは、2007年に立ち上がった、セクシュアルマイノリティの問題に取り組む弁護士・行政書士・司法書士・税理士・社会保険労務士などの法律家のネットワークです。2016年7月現在、日本各地に100名以上のメンバーがいます。
Q4
そもそも、「日弁連」って何ですか?
日本全国の弁護士が全員入っている、強制加入団体です。
正式名称は「日本弁護士連合会」です。
2016年9月1日時点で、3万7614人の弁護士が登録しています。
Q5
人権救済って何ですか?
日弁連が、人権が侵害されているケースについて、調査をし、必要な措置をとることです。
弁護士は、人権を守ることが使命です。
弁護士法の第1条に、そのようにはっきりと書かれています。
人権救済は、弁護士のその使命に基づいて設けられている手続で、日弁連の会則に定められています。
Q6
日弁連の「措置」はどんなもので、どんな効果がありますか?
人権侵害があるかどうか、そしてそれをどうやってなくすかについて、文書が作成され、「警告」「勧告」「要望」などの措置がとられます。
日弁連が作成した文書は、当事者(加害者・被害者)に渡されるほか、マスコミへの公表や、日弁連のサイトへの公開もされます(*外部リンク)。
そして、措置をしてから6か月経過した後、日弁連が、措置をした相手に対して、日弁連の措置を受けてどのような対応をしたのかを照会します(照会に対する回答例*外部リンク)。
裁判所の判決と違って、加害者に対する強制力はありません。
しかし、弁護士全員が加入し、人権を守ることを使命としている日弁連が、法的な観点から調査・分析した結果は、社会に対して大きなインパクトがあります。
Q7
申立から結論まで、手続きはどう進みますか?
申立後、予備審査が行われ、予備審査を通過すれば、本調査が開始されます。
本調査により、何らかの措置をとるか、とる場合はどのような措置をとるかが決められます。
裁判のような、公開の手続ではありません。
日弁連は、申立人から出された書類について検討するほかにも、独自で調査もします。
日弁連が、申立人や関係者から、直接話を聞く場合もあります。
また、日弁連は、申立てられた相手方にも、照会を行います(ただし、警察の捜査のような強制力はありません)。
詳しくは、日弁連のサイト(*外部リンク)をご覧ください。
Q8
申立から結論まで、どのくらいの時間がかかりますか?
事案によってちがいますが、日弁連がしっかり事実関係を調査し、法的な検討をするので、ある程度時間がかかります。
石原慎太郎元東京都知事による性的少数者差別発言事件では、申立から警告までの期間は、2年7か月でした(2011年9月16日申立、2014年4月22日警告)。
同性婚人権救済申立は、2019年7月22日に、日弁連が、 「同性婚を認めないことは、憲法13条、憲法14条に反する重大な人権侵害であると評価せざるを得ないこと、及び憲法24条は同性婚を法律で認めることを禁止する趣旨とは考えられないことに照らせば、我が国は、速やかに同性婚を認め、これに関連する法令の改正をすべき」とする意見書を出し、結論が出されました。
参考:東京都知事による性的少数者差別発言に関する人権救済申立事件(警告)(*外部リンク)
Q9
同性婚について、どうして裁判ではなくて人権救済をするんですか?
裁判は、厳格な手続なので、訴えてたたかうために、とても大きな負担があります。
他方、人権救済は、裁判のような負担まではありません。
日弁連が「人権侵害の有無」に焦点を当てて調査して出す判断は、今後、同性婚の法律を作るための議論の中でも、また、同性婚が認められないために不利益を受けた当事者が個別の事件で裁判で争っていくうえでも、とても重要な文書として参照されることが期待されます。
追記
2019年7月に日弁連が出した意見書は、2019年2月以降提訴されている「結婚の自由をすべての人に」訴訟でも重要な証拠として提出されます。