弁護団の紹介

森 あい 弁護士

私は、今、ふと見上げれば雄大な山なみが見え、木々が紅葉し、雪が積もり、そして溶け、緑が芽吹き、花が咲き、季節の変化が日々感じられる美しい場所に住んでいます。

私が子どもの頃住んでいたのは、高層住宅しかなく、わずか1キロ平方メートルの土地に3万人以上の人々が居住する人口島でした。水道水ではなく、ミネラルウォーターを買って飲み、野菜はどこか遠くからスーパーに運ばれて来ていました。
それが、今は、豊富な湧き水、そして、信じられないくらい美味しくて、しかも安い、地元の野菜が手に入る生活をしています。ここでは、晴れた日の空は、突き抜けるほど青く、また、時に、雲海が広がり、とても幻想的な風景が見られます。

自然に恵まれた、この素晴らしい場所にも、きっと、自分の性別や好きになる人の性別のことで悩んだことのある人、悩んでいる人が暮らしていることでしょう。
この場所の素晴らしさを感じていても、「同性を好きになる自分は、ここでは暮らしていけない」と、ここから出て行った人もいることでしょう。

「同性パートナーと人生を共に歩んでいきたい」という人は、東京のような都会だけでなく、町や村にもいます。
また、トランスジェンダーの場合、戸籍上同性どうしであれば、たとえ当人たちが自分たちの関係を異性愛だと思っていたとしても、婚姻はできません。そういったことも、東京のような都会だけでなく、町や村でも起こっています。

私は、最近、とても感動的な映像を観ました。
それは、台湾のパレード10周年の記念映像です。
歌が流れる中、台湾の様々な地域で撮影された人々の写真が次々と映し出されます。
そして、こんな言葉が、歌の合間に画面に表示されます。

「我們不是來到都市才能當同志
我們也要能回到家郷・做自己
儘管你我都有自己的故事
但我們都唱著同一首歌
(私達は都会でしか『同志』になれないんじゃなくって
故郷に帰っても同じように生きたい
あなたにも私にもそれぞれの物語があるけど
みんな同じ歌をうたっている)」
2012台灣同志遊行―彩虹環島接力精華篇 *外部リンク
『同志』は、同性を愛する人が互いを呼び合うときに使われる言葉だそうです。

制度さえ変われば、人の意識が全て変わるわけではありません。
しかし、制度の変化は、人の意識に影響を与えます。

また、確かに、今の婚姻制度には問題があるでしょう。
しかし、婚姻制度を批判し、同性婚を求めることを批判することは、結局のところ、戸籍上の異性だけが婚姻できる不平等な現状を維持・肯定し続けることになるのではないでしょうか。

自分自身や愛する人の性別にかかわらず、誰もが、都市部はもちろん、そうではないところでも、婚姻という選択肢をもって自分らしく生きられるように、私は、同性婚の法制化を求めます。

そして、各地から一人でも多くの人が立ち上がり、この申立てに参加し、この申立てを応援し、同じ歌をうたうように、力を合わせて、同性婚の法制化への道を歩むことを願っています。

一緒に変えて行きましょう。

2015年5月15日掲載

弁護団員の鈴木朋絵と森あいによる論文「『同性』カップルの日本での婚姻について」を本HPにて読むことができます。

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