申立人のメッセージ

Kさん

photo_013

クローゼットのレズビアンです。
付き合って15年以上経つ同性のパートナーがいます。

高校の頃から恋人や恋愛対象は同性でしたが人生の半分以上大切な人のことを隠し続けて40代になりました。

現在のパートナーとは15年以上という月日を共に過ごし同居してからでも8年。

もはや恋人という感覚ではなく家族です。

お互いの家族とも仲が良く家族行事にも参加冠婚葬祭も手伝う間柄ですが「仲のよい親友」と思われています。婚姻関係が結べる異性であったなら“パートナーの姉妹兄弟の配偶者と同じようにフツウ”に「家族」としてこの場にいたのだろうなといつも思います。

長く付き合っている人がいるにも関わらず「相手はいない」と嘘をつくのはパートナーに対しても会話の相手に対してもとても心苦しい。

なるべく嘘が少ないようにパートナーの性別を伏せて話をした場合当然のように相手は異性だと思われ

「結婚しないの?」

「相手に責任感が無い」

「結婚の話にならないの?」

「親御さんは何も言わないの?」

「子どもは欲しく無いの?」と突っ込まれます。

「結婚はできない」と答えると「もしかして不倫?」などと言われます。

“長く付き合っているなら結婚するのが当たり前”というマジョリティの価値観に囲まれている中長く付き合って同棲して多くの異性愛カップル(夫婦)と変わらない生活を送っているのにもかかわらず私たちには結婚という選択肢はありません。

私の周りにはまだまだ沢山のクローゼットが存在し親や社会的プレッシャー子どものことなどを理由にレズビアンとゲイの間で「友情結婚」をしている(しようとしている)仲間も少なからずいます。

私自身も家庭の事情から子ども(孫)を切望されていたので男性と付き合い結婚を進めてみたこともあります。しかしやはりうまくはいきませんでした。

「同性婚を認めると異性婚が減り少子化につながる」という意見を聞くこともありますが経験上それは関係ないといえます。それに世間で言われる「伝統的な家族観」に当てはめたところで誰も幸せではありません。

法の下での平等が認められることはLGBTやマイノリティに対する偏見や差別が減り自身のことを隠すことなく生活できる日々に繋がると信じています。

人生の折り返しの歳を迎え老後や死後のことも視野に入る世代になり「これまで築いてきたものを無駄にすることなく残りの人生は自分らしく生きたい」と願うようになりました。

セクシャリティを隠していることも色んな不便も不自由も当たり前のことになっていてマジョリティに合せた嘘をつくことに慣れ過ぎて麻痺していたことに気付きました。

社会が変わろうとしているこのタイミングに「クローゼットだからといって隠れている場合ではない」「当事者が立ち上がり声を出さなければいけない」と実感し人権救済の申立人になることを決断しました。

私は人生の半分愛する人のことを隠して偽りの生活を送ってきました。

けれどこれから恋をするLGBTの子どもたちには恋愛対象が同性であっても隠すことなく異性愛カップルと同様“フツウ”にのろけ祝福される人生を生きてもらいたいのです。

同性婚の法制化が実現すれば同性愛者の人権から派生し他のマイノリティに対する人権に対する意識にも繋がり本当の意味で多様性社会の実現へと向かうと信じています。

すべての人が生きやすく平等に選択肢があることを心から望みます。

【プロフィール】 Kさん(東京都在住40代)

クローゼットレズビアン当事者として「セクシャリティをオープンに生活していない人たちが沢山いるということを社会に知ってもらいたい」という思いから2013年【隠れズ】というグループを結成し東京レインボープライドパレードを歩いています。

【隠れズ】スローガーン
NO MORE LIES. NO MORE HIDING.
We are invisible minorities stepping out of the closet.
No more lying to our loved ones.
No more hiding in the closet.
Let’s make ourselves visible.

2015年7月3日掲載

前の申立人へ  一覧に戻る  次の申立人へ